目次
はじめに
ピアノを始めて間もない頃、チャレンジしていた曲をある程度弾けるようになった時に、「自分の演奏がなんとなく下手に聞こえるなあ」と感じたことはありませんか。
下手という言い方は、個人的にはストレートすぎてあまり好きではないのですが、あまり魅力的でなく完成度の低い演奏をここでは「下手」と定義してお話ししていきたいと思います。
そもそも「上手と下手と聞こえる境目はどこにあるのかなあ」ということについて今日は考えていきたいと思います。
下手と感じるのはどういう時か
ヘタと感じるところを分析するには、ウマいと感じる演奏を分析して、どうして上手だと聞こえるのかを分析してみると良いのではないかと思いました。
上手な演奏では当たり前にできていることが、できていない時、人の耳は違和感を覚えます。
それがだんだんと積み重なっていくことによって「へた感」が出てくるんだと思います。
下手だと感じるであろうポイントは一体どういうところなんでしょうか。一つずつ考えていきましょう。
一定の速度で演奏されていない
正しい速度で弾くことを、音楽用語で「イン・テンポ(in tenpo)」といいます。
テンポが変化することなく一定の速度で演奏することが求められる曲がほとんどですので、この速度が速くなったり遅くなったりバラバラになってしまうと「へた感」が出てきます。
- 速く弾く音符がたくさん出てきたり、リズムが複雑な部分で詰まって遅くなる
- 長い音符や休符のところで我慢できずに焦ってしまって、逆に速くなる
- ミスタッチをしてしまったりして、その回復途中に右と左がずれたりする時
- 次を考えたり探すために空く、ちょっとした間
こういったことで「イン・テンポ」を保てない時、魅力的に聞こえなくなる可能性が高まります。
正確なリズムを刻んでない
上記の「イン・テンポ」のお話は、曲の「大きなくくり」でのお話でしたが、少しミクロに演奏を分析すると、細かい音符や休符をごまかしたりして正確なリズムを刻んでいない部分がたくさんあると「ヘタ感」が出ます。
なんか「ヘタだなあ」と感じる時は、もしかしたら思っているリズムがビミョーに違うことがあります。先入観で、楽譜の音と、奏でてる音の長さが違うのではと疑ってみると良いかもしれませんね。
音の強弱が一定ではない
「音の粒が揃っている」などと表現することが多いのですが、タッチがばらけたり、音の鳴りそこねのようなところがたくさん出てくると、強弱が一定でないので「へた感」が出てきます。
指が演奏に慣れていないために強弱が揃わないことが主な原因かと思います。
他にも、途中で一瞬、次の動きを忘れてしまって、挽回しようとして強く触ってしまったりするなんてことも、心当たりがあるのではないでしょうか?
本当の「下手」とは
本当に「下手」な演奏というのは、個人的には「ない」のではないかと思います。
冒頭では「魅力的でなく完成度の低い演奏」と定義しましたが、それは「下手」ではなく「未熟」や「未完成」という言い方が適切なんだと思います。
発展途上なので、下手と割り切ること自体がナンセンスですよね。
指が回らなかったり、うまくリズムが取れないところなんかはある程度練習をしまくることでカバーできます。
練習の改善の余地があると思って前向きに曲に向き合ってみましょう。改善ポイントは上にあげた3つのポイントをまずはチェックしてみてはいかがでしょうか。
最後に
今回はピアノを始めた自分の演奏が、下手っぽく聞こえてしまう原因を考えていきました。もしかしたら他にも理由がたくさんあると思いますので、ご自身の演奏で何か感じるところがありましたら、逆にリスナーになったつもりで、自分の演奏を分析してみてはいかがでしょうか。
ちなみに中上級者になってくると、「下手」の定義も変わってきて
- 曲のストーリーを歌えてるか
- ダイナミクス(抑揚)をつけられてるか
といったテクニックではない部分が表現できていない時なんかに言われることがあります。
音を奏でることを心から楽しんで弾けていたら、上記のような中上級者が求められる表現が自然とできている初心者の方もたくさんいらっしゃいますね。そういった演奏は、たとえ初心者でも「上手い!」と感じることもあるんですよー!