目次
はじめに
他の人が演奏しているのを聞いて、自分の演奏は下手くそだし才能ないのではないかと思うことはありませんか?
最近は、動画でピアノ演奏をアップしている方も大勢いるため、うまい演奏を聴いて思わず自分の演奏がチープで惨めに感じることも多くなってきますよね。
私もそういう瞬間が多々あります。
こうなってしまうと、演奏をすることをためらってしまったり、練習のやる気がなくなってしまう可能性があります。
しかし、これではもったいないです。
今回は、他の人のピアノ演奏を聞き比べてしまった時に、こういったネガティブな気持ちになってしまうことについて考えていきたいと思います。
自分の演奏が下手くそだと思ってしまう理由
うまい人の演奏と聞き比べて圧倒的に自分の演奏が下手だと思う時に、まず、どういった理由からそのような考えに至ったのかを分析してみましょう。
技術的な問題
まず、演奏の技術的な問題があります。
技術的に差がある場合は、例えば、
- 一定のリズムを刻むことができない
- 早いパッセージがもつれてしまう
- 強弱が甘い
というところでなんとなく自分の演奏がチープに感じるでしょう。
感性的な問題
感性的な問題もあります。
同じくらいの演奏をできる人でも、例えば
- 曲の抑揚をつけるのがとてもうまい
- 余裕のある演奏をしている
- 楽しそうに卒なく演奏している
というように、感性的に自分の演奏が薄っぺらく感じることもあります。
その他の問題
他にもいろんな問題で他人の演奏がすごいと思う場合があります。
1つは、演奏に間接的に関わってくる楽器の良し悪しとか、動画の録音、撮影機材や編集技術に差があるということです。
もう1つは、動画サイトであれば、例えば「動画の再生数」や「フォロワー数」「コメント数」などが圧倒的に差があるという時に、聴く人数でその演奏の『魅力』を図ってしまう場合があります。
確かに、たくさんのフォロワーがいるチャンネルの演奏は、その演者に一定の魅力があるからたくさんの人が閲覧して聞かれているのでしょう。
しかし、長く続けているからフォロワーがいたり、弾いている曲がとてもいい曲の場合もありますね。あるいは、違う角度で見ていくと、いい楽器を使ったり録音、編集の機材や技術を駆使することで、かなり魅力的に見せることもできます。
さらにいうと、ミスしていたり、止まってしまったりしていても、その動画のコンセプトが絶妙ならばたくさんの人が集まります。(例えば、着ぐるみをきて演奏するなど)
こういった感じで、自分の演奏が下手というか、「他人がすごい」と感じてしまう原因が、純粋な「演奏」以外の場合もありますね。
悲観的になった時の対処法
上記のような原因で、他人と比べて自分の演奏が下手くそだと思って、悲観的になってしまった時は、以下のようなことを考えてみましょう。
比較ではない主観的なもの
他人と比較すると悲観的になりますが、音楽は本来、主観的なものです。
もちろん音大を受験する人や、コンクールで課題曲を弾くような人にとっては、客観的に音楽を捉えて自分を鍛えていく必要があります。
しかし、そのような状況にいる人以外は、主観的に音楽を捉えることでいいです。
ということは、たとえ下手くそでも自分さえよければ、それでいいのです。
それでも、もし「技術的に未熟だな」と感じる部分があるのであれば、それは客観的にではなく、極めて主観的に感じることでしょう。
その部分を克服することで、「過去の自分との比較に持っていく」考え方が良いと思います。
「客観的に聞く」のではなく、「主観の中の客観で聞く」とでもいいましょうか。
「他人」との比較ではなく、「できなかった自分」との比較です。
例えば、今弾いている曲でさえも、過去の自分では弾くことができなかったと思います。
このように主観的に自分の曲の良し悪しを考えて聞くことで、自分の演奏の苦手な部分を克服するモチベーションに繋がりますし、自分の演奏が好きになってくるきっかけにもなります。
音楽は自由
上記の項目とかぶる考え方ですが、音楽は本来自由なものですから、たとえ他人が嫌いな演奏であっても、自分さえよければそれでいいと思います。
自分の演奏が好きになってくると、やる気がアップしますよね。
「音楽は自由」
この言葉を合言葉に、自分の演奏を追求していくことで、他人の演奏を気にすることがなくなってきます。
極論を言うと、ミスしたって、止まったっていいんです。
音楽は自由なんですから、アートなんですから。
表現を磨くために、練習をしていきましょう。
ピアノと長くお付き合いしていく
とはいえ、「技術的な問題」や「感性的な問題」を克服するための、圧倒的に練習量に差があるということがあります。
「ここまで演奏できるってことは、すごい練習しているんだろうな」
確かに、うまい人は毎日コツコツたくさんの練習をしてきたことによって、素晴らしい演奏を自信を持って卒なくすることができるのです。
「圧倒的に練習量が違うなー」と感じることがあり、「自分には無理」となってくることもあると思います。
そんな時は、うまい人も「毎日コツコツ」で自信をつけたのだということを自分に当てはめてみましょう。
確かに才能がある人はいますが、音楽の才能のあるなしに関わらず毎日コツコツ長くピアノに触れてきた人の演奏には一定の魅力が宿ると私は感じます。
例え不器用な演奏にも、魂は現れ、心を打たれることがあります。
まるで自分の言葉のように、音楽で自己表現ができるようになっていると魅力的に感じる場面が多いです。
他人と比較してしまうと、どうしてもがっかりすることはありますが、自分の今の演奏をより磨いていくために、楽器と長くお付き合いしていくことをイメージしてみましょう。
1年間ピアノに触れているだけで、技術的にも感性的にもかなり磨かれていきます。
数年間続けていれば、だんだん自分の弾きたい表現がわかってきます。
そして楽譜を読んだり、速く曲を習得することができてくるので、できることも増えてくるでしょう。
そんな未来を想像しながら、「ピアノと長くお付き合いしていく」ことを目標にしてみてはいかがでしょうか。
最後に
今回は、うまい人と比べて自分の演奏は下手くそだと思ってしまい、やる気がなくなってしまう時の原因や対処法について考えていきました。
人の演奏を聴いて純粋に「いい演奏だな」と感じたり、自分の演奏に取り入れたりすることができてくると、本当の意味で「前向き」にピアノを研鑽していくことに繋がるでしょう。
毎日コツコツとピアノと向き合うことで、このような後ろ向きの気持ちは消えていくでしょう。もし他人の演奏と比較して、悲観的になってしまった時は、ぜひ自分とピアノの対話を楽しむことに気持ちを切り替えて、長くお付き合いをしていくことを心に決めて、ちょっとずつ前進していくことをオススメします!