ピアノ初心者が独学で弾けるには、どれくらいの時間どんな練習をすれば良いか

大人のピアノ初心者が独学で練習をしようと思ったときに、両手で弾けるまでに、どれだけ時間がかかるのか、先が見えないと不安だという悩みを聞くことがあります。

今日はこんな悩みについて解決する方法を考えていけたらなと思います。

◆ピアノ初心者の悩み◆

最初に、小さい頃からやらないと弾けるようにならないと思っている方がいますがそんなことはないです。確かに大人は子供より筋力の衰えや時間的制限があるでしょう。しかし子供よりも理解力は高いですし、自分で考えて道すじを立てることができます。ということはピアノを習得するには「練習時間」が重要になってきそうです。

どれだけやったらいいのか道筋が見えないことは手を出しづらいと思います。個人差はあるにせよ「これくらいやればこれだけ弾けるようになるんだ」という目安があると良いのかもしれません。

何を持って弾けるとするのかというのは、その人それぞれだとは思いますが、少なくとも、両手で楽譜を読みながら自分の弾きたかった曲に挑戦できている状態が目指すところかと思います。

大人のピアノ初心者が独学で弾くためには、どれくらいの時間どんな練習すれば良いのかを知りたいのではないでしょうか。

◆練習時間、練習頻度◆

「練習時間」より「練習頻度」

ピアノは、例えば週4日で20分間でも、練習をコツコツと進めていくことができれば上達することができるでしょう。逆に、一気に1日に詰め込んで、他の日はほとんど弾かないという方法では難しいかと思います。

スケジュールを立てづらい生活を送っていても、トータルで週4日程度20分ずつ弾ければ効果は出ます。練習ができない日があってもコツコツ続けられれば焦らなくても大丈夫です。育児をしている主婦の方や残業が多い会社勤めの方は特に、練習できる時間の候補を3つほど作っておきましょう。そのうちの1つで練習できれば十分ですし、疲れて気が向かないときは練習しなくても良いという心の余裕も出ると思います。

「え、そんな短い時間でいいんだ」と思われるかもしれません。

しかし、ピアノは練習時間より練習頻度がものを言う世界なのです。コツコツとやることが重要です。もちろん、練習時間は長ければ長いほど上達が見込めます。極端な話ですが、毎日1時間集中して練習できれば1年でかなり上達できると思います。

とにかく、時間が限られている方は、ピアノに触れる頻度を上げましょう。毎日触れていれば忘れる部分が少なくなり、先に進みやすくなり、弾くこと自体が楽しくなります。

まとめて休日に練習

練習頻度が重要なのはわかったけれど「平日は育児や仕事で、ヘトヘト」という方は、少し余裕のある休日に練習をまとめてみるのもいいでしょう。

大人は子供に比べて少し時間がたったとしても練習してきたことを記憶することに長けていますので、「前回何したっけ」ということはないでしょう。

一日に詰め込み練習は避ける

先ほど少し極端な話をしましたが、1日に長時間の練習を詰め込んでやるのはやめましょう。筋トレと同じで、普段から指を動かしていれば問題ないかもしれませんが、1日中指を酷使すると筋肉を痛めてしまい逆効果です。だいたい次の日以降に痛みが出てきたりしてしまいます。無理なく好きな曲をゆっくり数時間弾くのであれば問題ありません。長時間練習したいときは、自分の指や腕の調子に気を使いながらやっていきましょう。

◆どんな練習をするの◆

仕事や育児、学業に忙しい場合は、限られた時間の中で自分の実力や都合にあった最適な練習メニューを考えることが大切ですね。

どんな練習を具体的にすれば良いのか、そのヒントを一緒に考えていきましょう。

時間配分と練習メニュー

限られた時間の中で練習するためには時間配分と練習メニューを事前に決めておくことが大切ですね。

もし「1日20分程度」しか時間が取れない方であれば、下記の感じのメニューは如何でしょう。

  • 指の「ウォーミングアップ」:5分
  • 練習曲の前回のおさらい:3分
  • 練習曲の新しい部分:10分
  • 通しで両手練習:2分

などという感じではないでしょうか。最後の通し練習はなくても構いません。ロスタイム的な感覚で、時間に余裕があったら通しで練習をしてみるといいと思います。かなり濃密な時間となりますので、頭と指がフル回転しながら、集中力も養われるかと思います。

もし20分以上練習時間が取れるという場合は、前回のおさらいや、新しい部分の練習を増やして精度や進度を高めていくことをオススメします。また、もっと余裕があるときには、前に練習していた曲をおさらいして弾く時間を取ると、指の練習になりますし、自分の癒し時間になるのでいいかもしれませんね。

さて、上で挙げた練習を一つ一つ考えていきましょう。

指のウォーミングアップ

最初の数分でもいいので、自分が弾きたい曲の練習前に指の「ウォーミングアップ」を行っておくと良いでしょう。運動する前の「ストレッチ」みたいなものですね。指が動きやすくなりますし、後々じわじわ効いてきます。指のケガ予防にもなりますね。この「ウォーミングアップ」は難しいことではありません。具体的には、例えば「練習し終わった曲の短いフレーズを片手ずつ正しい指遣いで弾く」といった簡単な内容でもかまいません。

練習する時間が、寝起きの時や、数日間ピアノに触れていないときには弾く感覚を取り戻すのに有効です。鍵の重さや位置などを確認しながら後の練習効率をアップさせましょう。

練習曲の前回のおさらい

前回練習していた部分を、おさらいしていきます。最初は、曲の速さを下げて丁寧に指の動きに注力しながら練習し、少しずつ目標の速さに近づけるのがコツです。楽曲を弾いていてミスが目立つ場合、一つ一つの音を間違えずに弾ける速さまで落として練習してみてはいかがでしょうか。

遅くても完璧に弾くことができたら少し速さを上げて練習するというサイクルを繰り返し、徐々に目標へと近づけます。曲の速さを下げて練習すると弾いているフレーズのそれぞれの音に耳を傾ける癖がつき、自分にとって苦手な部分や指の動かし方を判断して修正する能力がつくためです。

練習曲の新しい部分

新しい部分の練習に取り掛かるときは、ワクワクする反面、なかなか弾けない場合は苦戦するかもしれませんね。いきなり両手で弾こうとせず右手と左手でわけて練習するのがコツです。

基本的にピアノを弾く際は右手と左手がそれぞれ異なる指遣いになるため、最初はいきなり両手で弾こうとせず片手ずつで練習しましょう。区切りのいいところまでの右手と左手でそれぞれ練習し、片手でスムーズに弾けるようになってから、両手で弾く練習をします。片手ずつ練習することで、細かいリズムや音の間違いに気づきやすく、自分が苦手な部分に焦点を当てて練習できます。

両手で弾けるようになったら、苦手なポイントに集中し弾けない部分ごとに練習していきましょう。曲中に弾けない部分がある場合、細かく区切って練習しましょう。つまずいた部分の音符や休符を、ゆっくり一拍単位で分析し、一拍ごとに正しい音とリズムで弾けるように練習します。

通しで両手練習

通しで両手練習は「時間に余裕がある場合にのみ」することをオススメします。なぜなら、練習の効果を得るためにはなるべく「曲を通して弾かないこと」も大切だからです。

何か新しい曲に挑戦するとき、私もつい通して弾きたくなりますが、全体を通すだけの練習は弾ける部分と弾けない部分の差は大きくなるばかりですし、つまづいたり止まってしまうところも、なんとなく見過ごして漫然と弾いてしまうため、あまり意味がありません。あくまで大切なのは部分練習です。あまりピアノに触れていなければいないほど、どうしても通しで弾きたくなる気持ちはわかりますが、上記のような理由から通して弾くのは時間に余裕がある時のみにした方が良さそうですね。

練習時間外メニュー

毎日ピアノに触れられない人は練習時間外にも工夫次第で上達できます。例えば、お風呂に入ったり歯磨きをしたり寝る前の時間、テレビを見ている時間といった隙間時間があると思います。そんな隙間時間にも、ながら練習をすることができます。

それは、前の練習でやった指の動きを空で弾くという方法です。

指くぐりや指越えなどの「指遣い」のトレーニングをするのも効果的ですね。

お風呂の底やソファーに指をつけてタイピングするような、いわば「エアーピアノ」です。忙しい合間にも指を動かすことで、筋肉のなまりを少しでも遅くするとともに、指の動きの忘れを防止する効果があります。とにかくコツコツ指を動かすと後々じわじわ効果が出てきます。

◆最後に◆

忙しい中でしばらくやっていると、ピアノの練習をすることは、集中して自分の心身と対話するような、そんな感覚の発見も現れてくるかと思います。

ピアノの練習は、何か日本の花道、茶道、武道、書道のような「道」系の精神と通ずるものがあると常々感じます。この、「道」系の習い事をされる方は、技術だけではなく心を整えて人生を豊かにしたいと思う側面もあるそうです。限られた時間の中で、音楽を表現するピアノの演奏技術は「ピアノ道」と言っても過言ではないかと。

演奏技術とは別の次元で、集中力・思考力・忍耐力のような精神を昇華させていくようなそんな感覚があります。

上手いなと思う人ほど、頭はクリアで集中力があり心が現れます。逆に、技術はあっても響かない演奏をする人は、この部分が弱かったり。どんな上手い人でも練習の時間に入るときは、まずは頭の中を空っぽにして指や腕や全身の体感の感覚と鍵盤とに意識を集中してから入るそうです。指の動きがうまくいかないときは自分の心が焦っていたり何かに捉われているときかもしれません。

またピアノは、練習してすぐに弾ける、というわけにはいかないところに「価値」があるようにも思います。

大事なのは、集中して丁寧にコツコツ練習するということです。少しでも無理せず、焦らず、楽しく効果的な練習ができるよう、陰ながら応援しています!